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第1回 2010年6月号

〜会社の経営理念をどのように人事制度の中に落とし込んでいくべきなのか〜

はじめに

みなさんこんにちは。企業文化研究所代表の鈴木 茂と申します。
当研究所のホームページにアクセスいただきまして誠にありがとうございます。
この「事例解説」のコーナーでは今月より毎月1回、みなさんのお役に立つ情報を発信していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
創刊号にあたる今回は、みなさんの会社の経営理念をどのように人事制度の中に落とし込んでいくべきなのか、
その考え方をご紹介します。

人事制度を構成する3つの柱

まず最初に、人事制度を構成する3つの柱について説明したいと思います。
どのような内容の人事制度も次の3つの柱から構成されています。
人事処遇の基準とは、資格制度・等級制度と呼ばれることが多いですが、社員の処遇の高さを決める判断軸のことを指します。
人事考課(評価)制度とは、人事処遇の基準で定められた要件を、一人ひとりの社員がどれくらいクリアーできているのかを測るしくみのことです。
給与(報酬、賃金)制度とは、考課(評価)の結果を金銭的な報酬に反映させるメカニズムのことです。

“方針”をまず決めることが重要

人事制度を構築していくとき、まず最初に決める必要があるのが人事処遇の基準です。
このときまず“方針”を決める必要があります。“方針”とは「自社の理念に照らしてどのような社員を手厚く処遇するのか」ということです。この“方針”を決めることなく、資格や等級を何段階にするべきか、ということを考えてもあまり意味はありません。
また、この“方針”は自社の理念に照らして決めるべきものですので、出てくる結論は各社各様であって当然です。
お客様に対するおもてなしの心を大切にする、という会社の場合には、「お客様に対するおもてなしの心とは具体的に何か、どのような考え方や行動を指すのか」ということを掘り下げていきますと、自然と“答え”は見つかってきます。
まだ世の中にはない新しい発想やコンセプトに基づく技術開発を大切にする、という会社の場合にも「発想やコンセプトの独創性のレベルを判断する要素は何か、独創的な発想やコンセプトを生み出すプロセスにはどのようなものがあるのか」を掘り下げていくと、その“答え”は見つかってきます。

“答え”を人事考課(評価)の基準に展開する

自社の理念のキーワードを、具体的な考え方や行動、要素といったものに掘り下げていきますと、どのような社員を手厚く処遇するのか、という“方針”がはっきりと“答え”となって見えてきます。
この“答え”をさらにブラッシュアップ、精緻化して人事考課(評価)の基準に展開していけばよいのです。
具体的な展開方法の各論については次号以降でケース・スタディーを行いながら明らかにしていきたいと思います。
ここで強調しておきたいのは、人事考課(評価)の基準を給与や賞与をいかに公平に決めるか、という視点だけから作成しても、理念が社員の心に響くことはない、ということです。

給与(報酬、賃金)制度にはテクニカルな判断要素も入ってくる

人事処遇の基準、人事考課(評価)制度は理念との一体性がきわめて強いものです。
これに対して、給与(報酬、賃金)制度にはテクニカル=技術的な判断要素も入ってきます。
例えば、考課(評価)の結果のちがいに基づく昇給額の差をどれくらいにするか、賞与にどれくらいの差をつけるのか、といったことは理念だけからは導き出すことはできません。
またそもそも自社の給与水準をどれくらいに設定するのかといったことについても同様です。
これらの点についてはモデルケースを用いた試算の結果からその適否を判断する以外にありません。また、給与水準の設定についても同様に、採用や人材の維持・確保を図るうえでどの程度とすれば優位性が維持できるのか、という点から判断することとなります。
次号以降では給与(報酬、賃金)制度構築における、これらテクニカルな判断方法についても説明していきたいと思います。

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