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第24回  2012年5月号

〜賃金カーブの見直しについて考える〜

はじめに

賃金制度は次の2つの要素から構成されています。

1.
賃金体系

賃金の構成、運用ルールのことを指し、「基本給のほかにどのような手当があるのか」、また「昇給のルール」や「手当の支給条件」などが含まれます。

2.
賃金水準

賃金の金額水準のことを指し、「どのような場合にどれだけの金額の賃金が支給されるのか」ということです。

「賃金制度の見直しを行った」という会社であっても、�,猟其眤侶呂蝋舁�的に整備されているものの、�△猟其眇綵爐浪甬遒帽圓辰真綵狎瀋蠅鬚修里泙洌�きずっている、というケースをよく目にします。

そこで今回は、この賃金水準の部分を合理的に考えるうえでのポイントについて解説してみたいと思います。

賃金制度見直しの通常の流れ

まず最初に賃金制度見直しの通常の流れについて簡単に触れておきます。

賃金制度見直しの通常の流れ
ステップ1:賃金体系の見直し

詳しくは2011年2月号・3月号・4月号で解説しています。

ステップ2:賃金の目標水準の設定

見直し後の賃金水準をどれくらいの金額とするのか、目標を定めます。

ステップ3:賃金水準の見直し

管理職に登用される直前までは2の目標金額とほぼ同額となるように設定します。なお、管理職登用時点の賃金水準については前月号で詳しく解説しています。

賃金水準を合理的に考えるうえでのポイントは上記ステップ2の部分です。以下この部分について詳述します。

賃金カーブの見直しを実行する

「見直し後の賃金水準をどれくらいの金額とするのか」について、多くの場合に採られる手法は「現行どおりとすること」です。つまり、見直しの前後で賃金水準は上下させないということです。なぜこの手法が多く採られるのかといえば、

・社員個々人の賃金水準の上昇や低下を招くことが原則なく、・また毎年の昇給額も大きな変化をもたらさないので、・現行制度から新制度への移行がスムーズに行える

ためです。現行の賃金水準=賃金カーブが合理的なものであればこの手法は効率的なものであるといえますが、そうでない場合には賃金制度の見直しを行った意味を大きく失わせることとなります。多くの場合単に「ムダな手当がなくなった」「評価に基づく昇給ルールが明確になった」ということにとどまってしまうためです。ではどのような賃金カーブを目標水準とすることが合理的といえるのでしょうか?判断基準は次の一点に絞られるものと考えます。

仕事の価値の上昇カーブと賃金カーブを極力一致させること
経験年数が10年を超えたあたりから仕事の価値の上昇はほぼ止まる場合

例えば、経験年数が10年を超えたあたりから仕事の価値の上昇はほぼ止まり、後は役職に就いて管理的な仕事が加わらない限り仕事の価値は変わらない、という場合について考えてみます。このような場合でも人事考課が標準以上であればその後も毎年昇給し続けるとした場合の仕事の価値と賃金カーブの関係は左記のとおりとなります。

上記のような場合には、

といった形態の賃金カーブに見直すことが必要です。

仕事の価値の上昇速度の個人差が大きい場合

また、仕事の価値の上昇速度の個人差が大きい場合(例:研究開発職のような専門職)について考えてみます。このような場合に毎年同じようなピッチで上昇していく賃金カーブではやはり見直しが必要となります。

昇給を次の2種類に区分した場合、上記のような場合には昇格昇給にウエイトを置いた賃金カーブとする必要があります。

1.
定期昇給

毎年の人事考課の結果に応じて賃金を上昇させる昇給。昇格しなくても昇給する。

2.
昇格昇給

昇格した場合に賃金を上昇させる昇給。昇格した場合のみ昇給する。

※ただし、前提として仕事の価値が上昇したときに昇格させるルール作りが必要です。

仕事の価値の上昇カーブと賃金カーブが一致しないということは、

・がんばって自分自身の力を高めなくても賃金は上がっていく あるいは ・がんばって自分自身の力を高めてもなかなか賃金が上がらない

ということのどちらかとなり、社員の意欲の低下を招く環境を作り出していることとなります。

ただし、「仕事の価値の上昇カーブと賃金カーブを一致させる」といっても、標準的な生計費を一定水準まで(2人世帯、3人世帯など)は保証するものでなければ社員が定着することはありません。また、良い人材を採るという点では採用競争上競合する企業群の賃金相場も考慮する必要があります。その他自社の支払い能力なども考慮したうえで賃金の絶対水準は決定する必要がありますが、「仕事の価値の上昇カーブと賃金カーブを極力一致させる」という視点を絶対に忘れてはいけません。みなさんの会社でも次のようなことはありませんか?
昇格しないままでもほぼ制限なく賃金が上昇し続けるしくみとなっている。 仕事の価値に明らかな違いがある職種間でほぼ同じ賃金水準を適用している。

どちらもよくあるケースですが、仕事の価値の上昇カーブと賃金カーブが一致しない典型例といえます。

まとめ

賃金水準を見直すにあたって、現行水準や生計費・各種モデル賃金データとの比較、あるいは自社の財務分析等を行うことも大切です。しかし、最も重要なのは「仕事の価値の上昇カーブと賃金カーブが一致しているか」という視点であり、この点を常に意識して賃金カーブの見直しを実行していくことが必要です。本稿をご参考にしていただき、みなさんの会社でも一度自己点検してみてください。

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