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第48回  2014年5月号

〜変化に対応する人事企画〜

はじめに

人のマネージメントを行ううえでの最優先課題は「収益を大きく左右する部門の社員の能力とモチベーションをいかに高めるか」ということであると考えます。そして、そのために最適と考えられるしくみ=人事制度を整えても、内外の変化に対応していくことが必要となります。

そこで今回は、いくつかの事例を通して、この内外の変化に対応していく対策を考えるうえでのポイントについて考えてみたいと思います。

内外の変化の例と対策を考えるうえでのポイント

�‘�き方に対する多様なニーズに応える

かつては育児や介護休業に関する規程はあっても実際に取得した例はない、といった企業においても、現在では従業員からの休業の申請に対して難色を示すといったことはほとんど見られなくなりました。政策による啓発が進んだこともありますが、現実に多くの企業が従業員の育児や介護の問題に直面しており、これに適切に対処することが会社の業績にも大きな影響を与えるため、経営者自身の意識が大きく変わってきた結果であると考えます。また、従来のように正社員であれば会社の命令一本でどこにでも転勤し、どんな配置転換にも応じることを前提とするだけでは、貴重な戦力の離職を招いたり、モチベーションの低下をもたらす可能性が高い社会環境となってきたといえます。

このような働き方に対する多様なニーズに応えるための対策として、「コース別人事制度」を導入している企業も多く見られます。従業員(主に正社員)を複数のコースに分けて、コースごとに異なる処遇を行う人事制度です。通常は勤務地や職種に限定があるコースの処遇水準<勤務地や職種に限定がないコースの処遇水準となります。このコース別人事制度を考えるにあたっては、コースによる処遇水準の違いを合理的に説明できるか、それぞれのコースが性別等不合理な理由によることなく広く開かれたものであるか、といった法的な要件をクリアーすることが必要です。

しかし、それだけでは不十分です。なぜなら、「貴重な戦力の離職を招いたり、モチベーションの低下をもたらさないように働き方に対する多様なニーズに応えること」がそもそもの目的・企画の原点なのですから、「勤務地や職種に限定があるコースを選択した人たちにいかに意欲を持って能力を発揮してもらうか」という視点はむしろ最重要ポイントといえるからです。

コース別人事制度を導入する目的にもよりますが、それが「働き方に対する多様なニーズに応える」というものである場合、一般的に処遇水準が低いとされるコースを選択した人たちに対して、いかに意欲を持って能力を発揮してもらうのか、そのための工夫を欠いていては、そのコース別人事制度は

継続することはできないでしょう。
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現在、小売業を中心としてパート・アルバイトの採用難が発生しています。

3大都市圏といわれる地域においては募集時平均時給が明らかな上昇を示していますし、マスコミ報道でも有名企業のパート・アルバイトの正社員化の事例が報じられています。小売業など収益を生み出す源泉の部門(店舗)がパート・アルバイトを主力として運営されている企業の場合、パート・アルバイトをいかに確保し、彼・彼女らに意欲を持って能力を発揮してもらうか、ということは人のマネージメントを行ううえでの最優先課題です。

このような採用難への対策として、募集時の時給を引き上げることは自然な行動です。

しかし、「正社員化」については安易に考えることは避けるべきでしょう。

例えば、①で述べた「コース別人事制度」を採用していない会社でパート・アルバイトを全員正社員にした場合、おそらく給与や賞与、退職金などの負担は急増するものと考えられます。

「収益を生み出す源泉であるパート・アルバイトをいかに確保し、彼・彼女らに意欲を持って能力を発揮してもらうか」ということがこの場合のそもそもの目的・企画の原点です。従って、対策の中身はその目的を実現するために必要な範囲内のものであれば足り、それを超えるものは実行可能性、継続可能性に欠けるものと言わざるをえません。

現実に採用の段階でも、店舗でパート・アルバイトを採用する場合と本社の企画・開発部門などで正社員を採用する場合とでは、求める資質や"伸びしろ"に差があるものと考えます。従って、このような場合には「コース別人事制度」を採用して、パート・アルバイトを正社員化した場合の処遇ルールを別途定めておく必要があるといえるでしょう。十分な研究、準備なしに、「有名企業がやっているから」というだけで一歩先を見ずに追従してしまうことは避けなければなりません。

まとめ

人のマネージメントを行ううえでの最優先課題は「収益を大きく左右する部門の社員の能力とモチベーションをいかに高めるか」ということであると考えます。そして、そのために最適と考えられるしくみ=人事制度を整えても、内外の変化に対応していくことが必要となります。この内外の変化に対応していく対策を考えるうえでのポイントの第一は、

「何を実現する必要があるのか」というそもそもの目的・企画の原点を常に見失わないということです。
第二は、その対策の実行可能性、継続可能性の十分な検証

です。実行に移すまでのスピード、法的要件のクリアーといったことももちろん大切ですが、

この2つのポイントは意外と盲点となってしまう場合が多いものです。
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