
前月号では「ケース・スタディー1」としまして、ある小売業の会社を題材にして人事制度のあり方を考えてみました。
今回は研究開発型の企業を取り上げて同じくケース・スタディーを行いたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
研究開発型の企業といっても、社内には様々な職種がありますし、また一般消費者向けの製品開発を行う会社、産業用の製品開発を行う会社など、多様なケースが考えられます。
今回は職種については「研究開発職」を、製品の販売対象については「必要に応じて場合分けをしながら」考えてみたいと思います。
まず最初に、「人事処遇の基準」のあり方について考えます。
研究開発職の場合、その力量を7段階や8段階といった多段階の資格や等級に区分することはあまり意味がありません。
多くの場合は、

の4段階といったところでしょう(※今回のケース・スタディーでは「研究所長」といったマネージメント職の検討は省略します)。
このとき、「給与処遇の観点から多段階の資格や等級数を設定したい」と考えがちですが、この考えは捨てた方が賢明です。
給与処遇のためだけであれば、上記レベル1〜4までのそれぞれの内部をさらに細分化して給与とだけリンクさせればよいからです。
図にすると次のとおりです。

これにより、
こととなります。
次に、人事考課(評価)基準のあり方について考えます。
「どのような人材を手厚く処遇するのか」という点については、「魅力的な製品を開発することができる人」ということに尽きるのですが、これを掘り下げていきますと、次の2つの要素を導くことができます。


そして、製品の販売対象が「一般消費者」か「産業用」かで、次のとおりのレベル設定ができるものと考えられます。


一般的には、
ものと考えられます。
なお、この点については「市場における優位性の度合い」の各社における具体的定義の内容(「価格」をどの程度重くみるか、など)によっても変わってきます。
上記のほかにも各社の理念・方針に応じて重要な要素として人事考課(評価)の対象とすべきものはありますが、今回はケース・スタディーですので上記1つにとどめておきます。
次にこの考課(評価)基準を適用するうえでのポイントについて考えてみたいと思います。
次の2つが重要であると考えます。


(1)については、各自へのテーマの割り振り・設定はある程度「レベル」を考慮して行うことも必要ですが、研究開発を進める中でテーマの価値が変化することも考えられます。また、研究開発職の場合、一定の経験を経た後の各自の成長度合いには大きな差異が生じることが多く、“できる人にはどんどん活躍の場を与えていく”ことが大切です。従って、人事制度上の位置づけにとらわれた仕事の割り振りや評価しか与えないというのは極めてナンセンスなことです。
(2)については、各自のテーマが通常人事考課(評価)の対象期間として用いられる半年や1年で結果が出るものばかりとは限りません。「人事考課(評価)の対象期間が半年(あるいは1年)なのだから、それに合わせてテーマを設定しなさい」ということの方が本末転倒です。
最後に、給与(報酬、賃金)制度のあり方について考えてみたいと思います。
今回の以上のケース・スタディーを前提とした場合、ポイントは次の2つになるのではないでしょうか。


研究開発職については実力・実績処遇の方針がよくマッチするものと考えられます。なお、「1つのテーマを複数人で取り組んで成果を出した場合の各自の貢献度の評価方法」や、「発明に対する報奨制度のあり方」なども重要なポイントですが、これらについては後日稿を改めて取り上げてみたいと思います。
次回は“仕事と給与(報酬、賃金)のバランスのさせ方”を「ケース・スタディー3」として考えてみたいと思います。ご期待ください。