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第23回  2012年4月号

〜管理職の給料について考える〜

はじめに

管理職という言葉は多くの会社で労働基準法の「監督若しくは管理の地位にある者」(41条2号)を指す意味で使われています。「管理職には残業手当や休日出勤手当が出ない」あるいは「出さなくていい」ということは多くの人が知っていますが、どのような立場の人がこの「管理職」に該当するのかについてはよく知らない人が多いというのが実情です。

そこで今回はこの管理職の該当条件のうち、給料面の要件について詳しく解説してみたいと思います。

管理職の該当条件

行政当局の解釈を要約すると次の3つとなります。

1.
経営者との一体性

職務権限のことを指し、労務管理や業務上の重要事項について権限を持っているかどうかということです。

2.
勤務についての自己裁量

自分自身の出勤時間や退勤時間、および休日を自分の裁量で決められるかどうかということです。

3.
給料面での優遇

給料の水準が非管理職(管理職でない人)と比べて優遇されているかどうかということです。

「1. 経営者と一体となって重要な仕事を担当する者であるから、2. 1日8時間労働や1週1日の休日といった規制の下ではその責任を果たすことができず、3. そのみかえりとして高い給料を支給されている者については、1日8時間労働、1週1日の休日といった保護を与えない=残業手当や休日出勤手当を支給しなくてもよい」というのが行政当局の解釈の仕方であるといえます。

<はじめに>でも述べたとおり、今回は上記3つの条件のうち、3. の部分について以下詳述します。

どれ位の水準が「優遇」といえるのか?

この点について絶対的な金額水準(年収800万円以上など)や判定方法を示した行政解釈や判例はありません。

※数年前にいわゆる“名ばかり管理職”への対応として、実際に働いた時間に基づく賃金の時間単価が最低賃金額に満たない場合は「管理監督者性を否定する極めて重要な要素となる」という行政解釈が出されましたが、このようなケースは常識で判断してそもそも論外といえます。

比較の対象となる非管理職の給料水準が各社各様である以上、そもそも「優遇」の絶対的な金額水準や判定方法を導くことができないのは当然です。
ではどのように管理職の給料水準を決めたらよいのでしょうか?理論的には次の2つの視点から決定する必要があると考えられます。

「管理職になると残業代が出なくなるので給料が下がる」という声は実はかなり多くの会社で聞かれ、決して珍しいものではありません。しかし、その状態は社員の管理職への昇進意欲の低下という人事管理上の問題を招くだけでなく、“管理監督者性を否定される可能性が高い危険なもの”であるといえます。

実務的な検討ポイント

では次に、上述した「2つの視点」について実務的な検討を行います。

まず視点Aについてですが、これは各社の給与体系にもよりますが、管理職登用前までの役職手当等(例:係長手当など)とのバランスから金額を考えればよいでしょう。それほど複雑な問題はないものと考えられます。

次に視点Bについてです。補償額の計算自体は次のとおり決して複雑なものではありません。

上記の算式が成り立つように「初任管理職の給料」を決めればよいわけですが、問題は“非管理職の給料水準のどこを基準として残業手当や休日出勤手当を計算するのか?”という点です。最も安全なのは“非管理職の最も高い給料水準”ですが、多くの場合「初任管理職の給料」の水準が高くなりすぎ、現実的なものではなくなります。下図に示す「モデル上限」を基準にしますと、多くの場合「初任管理職の給料」の水準は現実的な金額となりますが、最終的には非管理職に実際に支払われている給料水準の分布状況などもふまえながら検討する必要があります。

また、「残業、休日出勤の時間数をどのように設定するのか?」という問題もあります。理論的には“36協定上の時間枠を用いる”ということになりますが、この点についても最終的には“実際の非管理職の残業、休日出勤の状況などもふまえながら、かつ「初任管理職の給料水準」が高くなりすぎないように検討する”ということになります。

なお、以上のプロセスをどのように検討しても「初任管理職の給料水準」が高くなりすぎるという場合には、“賞与も含めて考える”ということになります。管理職の該当条件である「給料面での優遇」は賞与を含めた年収で考えればよいからです。ただし、賞与を含めて考える場合には特に“評価が低い場合でも管理職としての最低保証水準は支払われるように制度を考える”ことが必要です。状況次第では非管理職を含めた給与制度全体の見直しや残業、休日出勤時間数を削減するための対策実施などを合わせて行う必要があります。

まとめ

管理職の給料について「非管理職よりも優遇する必要がある」という意識は多くの会社が持っていますが、理論的に、法的にしっかりとした検討を行ったうえで設定している会社はあまり多くありません。本稿をご参考にしていただき、みなさんの会社の管理職の給料がきちんと説明できるものであるかどうか一度検討してみてください。

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