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第86回  2017年7月号

〜理念を体系化する〜

はじめに

7月となり、新たな執行体制のもとで人事制度改革を考えておられる会社も多いことでしょう。国が掲げる働き方改革や、多様な働き方のニーズに積極的に応える人事制度の構築などをご検討中の会社も多いことと思います。どのような制度を構築するにせよ、人事制度とは次の2つの要素を満たすものであることが必要であると考えます。

�ー�社の人事課題の解法を示したものであること。

�⊆勸�が働くうえでの指針となるものであること。

この2つの要素を満たして初めて 「目指す会社を実現するための人事制度」 → 「理念を体系化した人事制度」 ということができると思います。

そこで今回はこの2つの要素を満たした人事制度の開発プロセスについて解説してみたいと思います。

自社の人事課題を起点にして考える

自社の人事課題とは、「現行の人事制度のままで困っていること」ととらえることができます。自社の人事課題のすべてが人事制度に起因するものとは限りませんが、現実に生じている課題に対して何の答えも用意していない人事制度では存在意義がありません。課題が人事制度に直接起因するものでなくても、新たに構築する人事制度はその課題の解法を示したものであることが必要です。

課題に応じて解法が大きく異なるのは当然です。
例えば…

同じ目標管理制度を導入していても

・2〜3ヵ月の短期案件が多く、期初に期末までの目標を立てることがむずかしくて困っている会社と・経営方針、基本戦略は定まっているが、それを実行する人材育成ができずに困っている会社

と

とでは解法は大きく異なります。
前者は期初に無理に期末までの目標を立てさせる方式をやめ、「期終了後に実績を申告させて評価する方式」に切り換えた方が適切でしょう (2010年12月号を是非ご覧ください)。後者は目標とその達成度だけでなく、「次はどうする?を必ず考えさせる」しくみにしていくことが必要であると考えます (2017年5月号を是非ご覧ください)。

また、同じような給与制度を導入していたとしても

・個人や部門の業績との連動性を高めたいと考えている会社と・成果主義給与制度の弊害が顕在化し、若年層の給与水準の伸び悩みに直面している会社

と

とでは解法は大きく異なります。
前者は「成果主義の色彩を採り入れた給与制度」を構築することとなりますが、後者は「最低保障水準の考え方を採り入れた給与制度」を構築することが適切と考えられます(2011年4月号、2014年12月号を是非ご覧ください)。

このように「何に困っているのか?」を明確化、絞り込むことなくして自社の人事課題の解法となる人事制度を開発することは不可能と言わなければなりません。

社員が働くうえでの指針を示すには

自社の経営理念、基本戦略、方針を起点に考えることが必要です。この起点に照らして「期待する人材像」を定義します。部門・職種や階層ごとにまず大まかに3〜5項目程度に箇条書きにして定義します。

自社の経営理念、基本戦略、方針→部門・職種、階層ごとに→「期待する人材像」3〜5項目程度

次に「期待する人材像」を、日々の仕事を進めていくうえで「どのような考え方や行動を取ることが当社においては正しいのか?」という視点から6〜10項目程度に書き下します。これが自社における「行動規範」となり、社員が働くうえでの指針となります。人事制度を構成する要素で言えば「人事評価の基準」です。

期待する人材像(部門・職種、階層ごと)→日々の仕事を進めていくうえでどのような考え方や行動を取ることが当社においては正しいのか?→「行動規範」=「人事評価の基準」(社員が働くうえでの指針)6〜10項目程度

まとめ

「何に困っているのか?」を明確化し、絞り込むことなくして自社の人事課題の解法となる人事制度を開発することはできません。また、社員が働くうえでの指針とならない人事制度は目指す会社の実現に役立ちません。自社の人事課題の解法を示し、社員が働くうえでの指針となる人事制度こそ「理念を体系化する」ことであると考えます。

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