
会社の従業員のうち、中核となるのは雇用期間の定めのない「社員」と呼ばれる人たちです。この「社員」のほかにも従来から短時間勤務者である「パート」や臨時に一時的に雇用する「アルバイト」、定年後の再雇用者である「嘱託社員」などといった従業員も存在していました(※最もこれらの呼称は世間一般で広く使われているものにすぎず、法令上の定義ではありません)。
「社員」「パート」「アルバイト」「嘱託社員」それぞれの労働条件は異なるのが通常です。従って、本来であればそれぞれ独自の就業規則を作成して、労働条件を明確にすべきものです。ところが従来は次のような方式が多くの会社においてみられました。



そして上記の例のような詳細な規定がない事項については
。
このような方式は現在でも多くの会社でみられています。このような方式を採っても大きなトラブルに発展することが少なかった理由としては次のことを挙げることができます。
「パート」「アルバイト」は補助的・臨時的な従業員であり、また「嘱託社員」は会社として定年後も残ってもらいたい人に限定することも可能であったため、そもそも労働条件について会社と従業員間で疑義が生じることも少なく、また生じたとしても双方の話し合いで解決できるケースがほとんどであったため。
また、
と言っても、実際には必ずしも社員就業規則を準用していたわけではありませんでした。
例)慶弔休暇の付与、病気休職の適用、諸手当の支給など。
しかし、上述したような前提条件は現在ではすでに大きく変化しています。

必ずしも補助的・臨時的な従業員とは限らず、むしろ店舗や工場などの現場においては中核的な位置づけへと変質している。
また、本人たち自身も自己の生計を支える柱(単身者を含む)へと変化している。

65歳までの継続雇用の義務化により、会社として定年後も残ってもらいたい人に限定することはできなくなった。
また、本人たち自身も年金が支給されるまでは生活のためにも働く必要がでてきた。

「社員」と「パート」「アルバイト」「嘱託社員」との労働条件の違いの内容とその理由について会社に説明義務が課されることとなった。
※大企業は2020年4月1日から、中小企業は2021年4月1日から。
このような前提条件の変化をふまえたとき、
といった規定は大きなトラブルにつながる危険があるといえます。
人材区分ごとにそれぞれ独自の就業規則を作成して、労働条件を明確にするのが本来の姿であると考えますが、当面「社員」「パート」「アルバイト」「嘱託社員」などといった区分によらざるをえない、またそれが自社には合っているという場合もあるでしょう。
このような場合でも従来型の
といった方式は一刻も早く止めて、それぞれ独自の就業規則を作成して、労働条件を明確にすべきものと考えます。