
近年、新聞の求人広告などでも「人事企画職募集」「人事企画業務の経験者歓迎」などといった言葉をよく目にするようになりました。しかし、「人事企画」と聞いてどのような仕事なのか、まだピンとこない人も少なくないのも事実です。
そこで今回はこの「人事企画の機能」について取り上げてみたいと思います。
よろしくお願いします。
90年代半ばまでは人事部門の仕事といえば“保守的”と性格づけることができたと考えられます。給与計算や社会保険手続きに加えて、毎年の賃金表の書き換え=ベース・アップに代表されるように、“決められたルールに則って仕事をする”“現在の制度を維持管理する”ことに力点が置かれていました。特に中堅・中小企業においては、採用や人事異動についても人事部門が実質的に判断するウエイトは小さく、トップが自ら判断する、という企業がほとんどであった、といえるでしょう。
しかし、90年代後半から2000年前後にかけて非常に多くの企業が成果主義人事制度の導入に代表される、高度経済成長以来維持してきた従来のしくみを大きく改める作業に着手し、人事部門の“保守的”な性格も大きな変革を求められることとなりました。
そして現在では、人事部門の仕事は旧来からは大きな変質を遂げており、
といった“革新的”な性格のものへと様変わりしています。
「事業をどのように運営すれば顧客、社会から求められる存在であり続けられるのか」を常に問い続ける必要がある時代です。事業を運営するのは「人」ですので、経営企画と人事企画は一体となって機能することが求められている、といえるでしょう。
では具体的にどのような局面で人事企画の機能発揮が必要となるのか、いくつか例を取り上げてみます。
経済全体が低迷する中でも安定的に業績を上げている企業や業績を伸ばし続けている企業は、常に事業のあり方や組織体制を進化させているのが特徴です。また、これらの企業においては、創業以来の主力事業よりも新規に始めた事業の方がウエイトが高くなってきたり、今後成長が見込める、というケースもよく目にします。
このような場合には、人事部門としては事業の進化や変化を効果的に支援するための企画機能を発揮することが求められます。
具体的には、“常に”経営陣との対話を通じて、次の事項を“把握し続ける”ことが必要です。
次に人事面での検討事項の整理を行います。
具体的には次のような事項が該当します。
正社員中心の部門とそうでない部門など
具体的には2010年7月号・8月号で解説しているようなことを指します。なお、部門によって異なる枠組みとすることが妥当なケースもあります。
人事制度全体の枠組みの変更、人事考課(評価)基準の改定や追加整備、給与(報酬、賃金)制度の改定、採用形態の変更、人事異動の計画、社員教育の見直しなど幅広い事項が該当しますが、優先順位をしっかりとつけることが大切です。
そして上記の要整備事項とその優先順位について経営陣の承認を得たうえで、実務に着手することとなります。
体力、手間、高度の専門性が求められますが、以上のことがらを"常に最適な状態に維持しておくこと"が本来の姿であり、また現在における人事部門の主要な役割といえます。この役割が果たされなければ数字には直接表れない大きなムダが発生し続けることとなります。
「事業をどのように運営すれば顧客、社会から求められる存在であり続けられるのか」を常に問い続ける必要がある時代ですので、社員教育も旧来のような一般的内容の階層別研修だけでは意味がありません。「現時点において強化すべき事項は何か?」を常に明らかにしながら、PDCAのサイクルを通じてその効果を常に検証する教育の充実が人事部門には求められます。
具体的な企画の進め方については2011年6月号で詳述していますので、是非そちらをご覧ください。
以上のほかにも「世代交代を展望したしくみの整備や幹部の育成」「トラブル、災害発生時のトップサポート」など、人事企画の機能発揮が必要となる局面は数多く存在します。人事企画の機能が有効に発揮されている企業とそうでない企業とではこれらすべての局面で大きな差が生じることとなるのです。
次回は就業規則に関する事項について解説します。
ご期待ください。