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第19回  2011年12月号

〜「ハロー効果」「相対考課」「組織の牽制機能」〜

はじめに

今回は前月号で予告した「3つの事項」について解説します。

ハロー効果

次の例題に解答してみてください。

例 題

ある会社の人事考課(評価)項目の一つに「案件受注の成功率を上げるために創意工夫したことがあったか」という項目があります。
Aさんの今期の売上・粗利目標の達成率はともに120%以上と高いものでした。その大きな要因は大型案件の受注に成功したことでしたが、Aさんの期中の行動の中に「創意工夫したこと」は特段見当たらず、上司から割り振られた引き合い情報に対してごく当たり前の対応を行っているにとどまっていました。
この場合のAさんの行動はこの人事考課(評価)項目の評価にあたって「�“獣悩猯舛箸垢戮�である」「��判断材料とすべきでない」のどちらでしょうか?

答えは「�“獣悩猯舛箸垢戮�である」です。ただし、この人事考課(評価)項目のAさんの評価は低いものとなります。みなさんの中で「��判断材料とすべきでない」と答えた方は「ハロー効果」を起こしやすいと考えられますので注意してください。
「ハロー効果」とは、何か1つ良いことや悪いことがあった場合に他のすべても良く見えたり、悪く見えるという考課のエラー(誤り)のことです。「ハロー効果」は他の考課のエラーとは異なり、“考課者自身が無意識のうちに陥ってしまうことが多い”という特徴があります。上記の例題に即してその心理を下図に示します。

Aさんは売上・粗利目標の達成率が高い ⇒ 高く評価すべき ⇒ 評価を下げる事実はジャマ ⇒ 「創意工夫なし」という事実を評価の判断材料から外す

上記は「高く評価すべき」と考えてそのジャマとなる事実を無意識のうちに評価の判断材料から外すというケースですが、その逆もあります。「低く評価すべき」と考えてそのジャマとなる事実を無意識のうちに評価の判断材料から外す、というものですが、これは何か一つ考課者自身のポリシーとして非常に重視している事項があり、その事項ができていないと他に優れた点があってもすべてをマイナス評価にする、という傾向として表われます。会社の考課(評価)のルールに反するものであればこれも考課のエラーとなります。
どちらも考課者自身が「ハロー効果」に陥っていることに気づいていませんので、考課者研修の中で上記例題に基づく教育を行ったり、二次考課者によるチェックの強化などの対応を図ることが必須です。

相対考課

最終的な考課(評価)の結果の分布状況が“適正”になるように、「S」は○%、「A」は△%、「B」は×%…と人数枠を決める、というのが「相対考課」です。これは考課(評価)の目的を昇給や賞与の決定だけに絞るのであれば有効な手法です。昇給や賞与の原資には枠があり、それを貢献度の高い方から優先的に配分することができるからです。
しかし、考課(評価)を行う目的として、「会社が期待する人材像」や「経営理念」「戦略・計画」といった会社の絶対的な目標水準の実現を考えるのであれば、「相対考課」よりも「絶対考課」の方に力点を置いた運用を行うことが必要となります。「相対考課」は母集団の中での順位を見るにすぎませんから、母集団全体のレベルが低い場合には目標水準に達していなくても高い評価となります。反対に母集団全体のレベルが高い場合には目標水準に達していても低い評価となります。どちらの場合も「会社が期待する人材像」「経営理念」「戦略・計画」といった絶対的な目標水準の到達度を測るのには適した手法ではありません。図で示すと右図のとおりです。

「賞与は相対考課で、昇給や昇格は絶対考課で決める」といった対応も考えられますが、「相対考課」の母集団は最大でも40人程度が限界と考えられます。これ以上大人数になると順位がつけにくくなりますし、順位をつけるうえでの判断材料もあいまいになりがちです。また、「相対考課」をするということは“母集団の中で競争させる”ということですので、チームワークや社員同士の協力関係への悪影響も覚悟する必要があります。

組織の牽制機能

考課者が部下の考課を行うことは仕事の一つです。従って、自己の利益を図るために考課を利用することは許されません。しかし、一部これに反する行動をする者も存在します。自分自身の“派閥”をつくって自己の利益を図るために考課を利用するのです。自分に尻尾を振って付いて来る者に良い仕事や考課という“きび団子”を与え、子分という“キジ”や“サル”を増やしていくのです。人間の組織である以上、こういった行動を完全に排除することはできませんが、放置しておけば「顧客や市場よりもボスの顔色を見て仕事をする」といった状態になることは間違いありません。

権限が適切、適正に行使されることを担保するしくみとしては、組織の中に牽制機能を組み込むことが必須です。「内部統制」などもその一つですが、肝心の人事の面でこの牽制機能が働かなければどのような立派な内部統制のしくみも無力であることは明らかです。「人事を握られている」ということが人間にとって最大の“泣きどころ”だからです。考課の局面では、通常多くの会社で一次考課、二次考課という多段階の考課制度が採用されており、一次考課は課長クラスが、二次考課は部長クラスが担当することが多いと思います。このとき課長と部長が“親分・子分の関係”というのが最悪と考えられます。なぜなら部下から見たときに牽制機能が働くことが全く期待できないからです。組織の牽制機能、内部統制のしくみが有効に機能する人事配置となっているかどうか、十分考えることが必要です。

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