
90年代後半から2000年代前半にかけての成果主義人事制度の導入ブームが終焉してから10年が経過しました。「それでよかった会社」「自社流にアレンジした会社」「運用が形骸化したままになっている会社」…、様々であることと思います。このうち、一昨年あたりから「運用が形骸化したままになっている会社」からの相談が増えてきました。
そこで今回は、成果主義ブーム終焉から10年を経過した今、「運用が形骸化したままになっている会社」が再度人事制度改革を行うにあたってのポイントについて考えてみたいと思います。
ここ10年弱の間はデフレ、賃上げ抑制の時期とも重なり、人事制度の運用が形骸化していても大きな不都合を感じなかった会社も少なくなかったものと考えられます。昇給や賞与の原資そのものが小さければ、評価の結果で差をつけるといっても限界があります。また、人の採用に困ることもなく、むしろ人や設備も十分足りているということであれば、人材育成の優先順位は相対的に低下します。ところが、昨年あたりからこの状況が大きく変わりつつあります。ベース・アップを含む賃上げの再開、人手不足、採用難など、変化の兆しが見えることは明らかです。賃金水準が上がり、人が足りなくなると、中小企業は良い人を採りたくてもなかなか採れなくなります。直近では06年前後、その前では90年前後が顕著でしたが、多くの中小企業が"人に飢えて"いました。あの頃に似た状況になりつつあるということを実感している経営者も少なくないということでしょう。
成果主義人事制度の運用が形骸化してしまった原因には様々なものが考えられますが、今回は制度そのものの原因のうち、比較的多く見られるものを取り上げたいと思います。典型的な原因は次の2つです。


即戦力として活躍できるかどうかよりも、将来の伸びしろや資質を重視した採用を行う多くの日本企業においては、中長期的な人材育成の視点やしくみが必要不可欠です。短期間で月給が大きく上下する成果給や業績給を幅広い範囲に導入することは、この中長期的な人材育成の視点を欠くものと言わざるを得ません。結局現実には運用ができず、制度が形骸化していくこととなります。
自社の基本的価値の反映とは、仕事をしていくうえでどのような考え方や行動をとることが正しいのかを人事評価の基準とすること=自社の経営理念の具体化、です(詳しくは2014年11月号で解説しています)。自社の基本的価値が反映されていない評価制度が自社の人づくりの土台とならないことは明らかです。既製の評価制度のモデルをそのまま転用、アレンジしたような場合が典型ですが、現実の仕事や部下指導の内容と評価の仕方が一致しませんので、「全く評価制度が機能しないまま終わってしまった」という会社も少なくありません。
成果主義人事制度の導入ブームが終焉してから10年が経過しました。その「運用が形骸化したままになっている会社」も少なくないことと思います。ここ10年弱の間はデフレ、賃上げ抑制の時期とも重なり、人事制度の運用が形骸化していても大きな不都合を感じなかったかもしれません。しかし、昨年あたりからベース・アップを含む賃上げの再開、人手不足、採用難など、変化の兆しが見えることは明らかです。
人の育成には時間がかかります。中長期的な人材育成の視点を持ち、今後の自社の人づくりの土台となる人事制度を再構築する必要があります。上記<形骸化を繰り返さないポイント>を参考にしていただき、次の10年の土台づくりに役立てていただければと思います。