
前月号では、人事制度とは社員が働くうえでの指針を示し、目指す会社を実現するための「場」を設定するものである、と定義しました。
しかし、人事制度は構築しただけで機能することはありません。
そこで今回は人事制度が機能するための条件について取り上げてみたいと思います。
人事制度が機能しているとは、人事考課制度を通じて示された社員が働くうえでの指針を多くの社員があたりまえのこととして実行している状態にあることを指します。
そのためにはまず人事考課制度を含む人事制度全体が社員に「公開」されていなければなりません。
しかし、この「公開」には次のとおり2つのハードルが存在し、それを乗り越える必要があります。
�� 社員の評価については知らしむべからずという根強い意識
�� こうすれば必ず成功できる、という指針を経営者自身が示す必要がある
��については、年功序列、終身雇用の時代にはそれでも通用しました。しかし、今は時代が違います。何が求められているのかを社員に示し、実力、実績に応じた処遇を行わなければ能力のある人材を引きつけていくことはできません。
��については、自社の強み、資源、市場の動向から経営者自身が会社全体が進むべき方針を示す必要があります。
それを受けて、人事部門や外部のコンサルタントなどが、この部門のこのポストにいる人にはこのように仕事をし、このような成果を出してほしい、という指針を人事考課の基準として明確化していくこととなります。
上記の「公開」が行われたとしても、「実行」されなければ人事制度が機能することはありません。
人事制度が「実行」されるためには、その中核である人事考課制度を運用する考課者が、人事考課の基準=社員が働くうえでの指針を深く理解している必要があります。
考課者研修では、正しい評価ができるようになること、ももちろん大切です。
しかし、もっと大切なのは、
考課者が自分の職場に戻ったときに、日常業務を通じて部下への正しい教育ができるようになること
です。そのためには、社員が働くうえでの指針=人事考課の基準を考課者が深く理解している必要があります。考課者研修の真の目的はこの点に置く必要があります。